万人受けする読みやすさが惜しい小説『愚者のスプーンは曲がる』

愚者のスプーンは曲がる 表紙 アイキャッチ

宝島社が主催している「このミステリーがすごい! 」大賞。最近、これの第15回受賞作品、隠し玉までが本屋に出揃いましたね。

今回は「このミス大賞2017」の隠し玉として発売された小説『愚者のスプーンは曲がる』を読み終わったので、簡単な作品紹介と感想です。

超能力を無効化する超能力を持つ青年と、それを取り巻く一風変わった登場人物たち。超能力が題材の小説でありながら、超能力が一度も描写されない斬新な設定。

『愚者のスプーンは曲がる』は、デビュー作でありながら読みやすい文章に上記のような斬新な設定と将来を感じさせるには充分な小説でしょう。

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万人受けしやすいが、どうも薄い小説

愚者のスプーンは曲がる あらすじ

『愚者のスプーンは曲がる』を読んだ感想として、まずはミステリー小説としては残念な部類でした。

僕がそうであったように、ミステリー小説として読むとガッカリしてしまう人が多いと思います。

と言うのも、宝島社のサイトで『愚者のスプーンは曲がる』のページを見ると「”サイキック・ウォー”か、”壮大なドッキリ”か」という紹介がされています。

ミステリー小説として読む場合、この2択が事件に関係、もしくは解決に重要なことであるように期待するでしょう。しかし、実際のところは超能力の存在は明言されないまま終わります。

テンポの良い文章とウケの良い設定ですが、ミステリー小説としては薄味過ぎて消化不良気味。エンタメ小説として読めば充分楽しめるでしょうが、若干ライトノベルのような薄さを感じてしまいました。

米澤穂信さんの小説を思い返す

今回『愚者のスプーンは曲がる』を読んでいて、脳裏に米澤穂信さんの小説が浮かんできました。

作品自体のテイストが若干似ている印象があり、米澤穂信さんも超常現象ありきのミステリー小説『折れた竜骨』を書かれていたのが理由でしょうか。

『折れた竜骨』は魔法が存在する世界で事件を解決するというミステリー小説ですが、犯人が途中で予想が付くなどは置いておいて、良い作品だったと思います。

『愚者のスプーンは曲がる』には『折れた竜骨』のような小説を期待していただけに、僕は落差を感じてしまったのでしょう。

先程、『愚者のスプーンは曲がる』読んでいてライトノベルのような薄さを感じたと書きましたが、それを良さとして上手く昇華して”古典部シリーズ”に近いものを目指せる将来性は感じました。どちらにせよ、米澤穂信さんの小説に近くなるような小説ではないでしょうか。

シリーズ、映像化を望んでいる印象

『愚者のスプーンは曲がる』を読んでいて特に惜しいなと思ったのが、シリーズ化か映像化を望んでいるんだなという気持ちです。

シリーズ化を見越した終わり方や、映像化しやすそうな設定と展開。あくまで僕が読んでいてですが、先を見越したような欲を感じました。

悪いことではありませんが、小説を読む側からすると邪魔な部分だと思います。

ここまで厳しめの評価ですが、僕は次の作品が出れば「読みたい」と思います。映像化しても「見たい」と思います。

それは『愚者のスプーンは曲がる』がエンタメ小説としては充分面白い小説だからでしょう。

僕は超能力者ではありませんが、今後シリーズ化によって人気が出る将来が見えました。皆さんもエンタメ小説として『愚者のスプーンは曲がる』を読んでみてはどうでしょうか?

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